山枡信明　　声楽家・テノール歌手

1992年よりドイツ、ヴッパータール歌劇場の専属ソリストとして本格的な歌手活動を始め、エッセン歌劇場など各地のオペラハウスにも客演してきた。

現在は西部ドイツ放送協会（WDR）に属するWDR放送合唱団の専属第一テノールを務めている。同合唱団で上演したマーラー、メシアン、リゲティー、B.A.ツィンマーマン、シュトックハウゼンなどの諸作品は音楽界で高い評価を得ている。またベルリン、チューリヒ、ミラノ、パリ、アムステルダム、ニューヨーク、ワシントンなどの諸都市への客演を成功裏に果たしてきた。そのうちチューリヒで のデイヴィッド・ジンマンとのマーラー、第八交響曲のＣＤ録音は、ドイツの音楽賞「エコー・クラシック」（2011年度）を受賞した。

山枡信明の活動のもうひとつの柱は、宗教曲をはじめとするオーケストラ付き声楽曲などのソリスト活動である。バロック時代から20世紀にいたる広範なレパートリーでドイツ内外のコンサートに数多く出演している。 主なものとしては、Ｊ.Ｓ.バッハの受難曲、「クリスマス・オラトリオ」、ヘンデル「メサイア」、モーツァルト「レクイエム」、ハイドン「天地創造」、ヴェルディ「レクイエム」などが挙げられる。

1996と1998年には、それぞれ南米チリとグルジアに客演、バッハ「ヨハネ受難曲」のエヴァンゲリストを歌って絶賛を博した。またリスト「キリスト」、ブラウンフェルス「テ・デウム」、レズニチェック「シュレーミール」（ケルンWDR放送交響楽団とのCD録音）などの知られざる楽曲を取り上げた意欲的な企画でのソリストを務め、注目を集めてきた。

これらに加え近年は歌曲演奏にも継続的かつ集中的に取り組んでおり、山枡の芸術活動における核心部分となっている。

横浜の生まれ。関東学院小・中学校、横浜緑ヶ丘高等学校卒業。東海大学教養学部芸術学科・同大学院にて福田達夫、松前紀男両氏のもとで音楽学を専攻する一方、声楽を東学、吉田旅人の両氏に師事。

渡独後はハイデルベルク教会音楽大学でジョン・ポーターのもとで声楽を専攻・修了。さらにシュトゥットガルト音楽大学で声楽をルイーザ・ボザバリアンとフランス・シマールに、オペラをクラウスナゴーラに歌曲演奏をコンラート・リヒターに学んだ。同オペラ科ディプロム取得。　またヘルムートリリング主宰のシュトゥットガルト・バッハアカデミーにも度々参加し、アルド・バルディン、ジョン・エリオット・ガーディナーなどの指導を受けた。その後もフランシスコ・アライザ、エレナ・ネントヴィヒなどの著名な芸術家のもとで研鑽を深めてきた。

ドイツ、デュッセルドルフ市在住。