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森に迷い込んだ男は道を失い、現実と幻想との区別もつかなくなってしまう。昔のドイツは国土が一面の森におおわれていたそうで、ドイツ人の心は森と特別に親しい関係をもっているようです。


In der Fremde


Ich hör' die Bächlein rauschen
Im Walde her und hin.
Im Walde, in dem Rauschen,
Ich weiß nicht, wo ich bin.

Die Nachtigallen schlagen
Hier in der Einsamkeit,
Als wollten sie was sagen
Von der alten, schönen Zeit.

Die Mondesschimmer fliegen,
Als säh ich unter mir
Das Schloß im Tale liegen,
Und ist doch so weit von hier!

Als müßte in dem Garten,
Voll Rosen weiß und rot,
Meine Liebste auf mich warten,
Und ist doch so lange tot.

(Joseph von Eichendorff)



異郷にて


小川のざわめきが
森のあちこちから聞こえてくる
森で　そのざわめく音のなかで
自分がどこに居るのか分からない

夜鶯が鳴く
ここで　この孤独のなかで
昔の　美しい時代について
何ごとかを　言いたいかのように

月のかすかな光が射したとき
私は　眼下の谷に
ひとつの城を　見たように思った
でも　城はここから遠い

城の庭園は
白と赤の薔薇にあふれ
最愛の人が　そこで私を待つはずだ
でも　その人はずっと前に死んでいる

（ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフ、対訳：山枡信明）


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