ホーム歌詞対訳 作曲家選択マーラー「恋人の二つの青い瞳が」

葬送の音楽。棺桶を担いだ人々が墓にむかって一歩一歩を進めるかのよう。葬るものは彼の愛。 もうこの町にいるわけにはいかない。孤独に町を去った主人公は一本の「菩提樹」のもとで、はじめて安らぎを得ることができる。こうして彼は「冬の旅」のイメージと重なる放浪の旅を始めるのだが、その結末の幸せを祈りたい気持ちにさせられる。


Die zwei blauen Augen von meinem Schatz

恋人の二つの青い瞳が


Die zwei blauen Augen von meinem Schatz,
恋人の二つの青い瞳が
Die haben mich in die weite Welt geschickt.
ぼくを広い世界むけて 追い出した
Da mußt ich Abschied nehmen vom allerliebsten Platz!
だから一番好きな場所に別れを告げなければならない
O Augen blau, warum habt ihr mich angeblickt?
おお青い瞳よ なぜぼくを見つめたりしたのだ
Nun hab' ich ewig Leid und Grämen.
おかげで 永遠の痛みと悲しみを もつことになった

Ich bin ausgegangen in stiller Nacht
ぼくは 静かな夜に 出発した
Wohl über die dunkle Heide.
暗い荒野を通って
Hat mir niemand Ade gesagt.
だれも私に さようならを言わなかった
Ade! Mein Gesell' war Lieb' und Leide!
さようなら! 私の道連れは 愛と苦しみ

Auf der Straße steht ein Lindenbaum,
道に 一本の菩提樹が立っている
Da hab' ich zum ersten Mal im Schlaf geruht!
私は そこで 初めて眠り 憩うことができた
Unter dem Lindenbaum,
その菩提樹の陰で…
Der hat seine Blüten über mich geschneit,
樹は私の上に 花びらの雪をふらせた
Da wußt' ich nicht, wie das Leben tut,
そのときぼくは 人生の仕打ちを忘れた
War alles, alles wieder gut!
すべては すべては ふたたび良いものとなった
Alles! Alles, Lieb und Leid
すべては すべては 愛も 苦しみも
Und Welt und Traum!
世界も 夢も

(Gustav Mahler)
(グスタフ・マーラー、対訳:山枡信明)