ホーム歌詞対訳 作曲家選択シューベルト「野ばら」D.257

「あの子には悪いことしちゃったな、今はどうしてるかな?」 やっぱり心のどこかに棘(とげ)は刺さってる。


Heidenröslein


Sah ein Knab' ein Röslein stehn,
Röslein auf der Heiden,
War so jung und morgenschön,
Lief er schnell, es nah zu sehn,
Sah's mit vielen Freuden.
Röslein, Röslein, Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.

Knabe sprach: ich breche dich,
Röslein auf der Heiden,
Röslein sprach: ich steche dich,
Daß du ewig denkst an mich,
Und ich will's nicht leiden.
Röslein, Röslein, Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.

Und der wilde Knabe brach's
Röslein auf der Heiden!
Röslein wehrte sich und stach,
Half ihm doch kein Weh und Ach,
Mußt es eben leiden.
Röslein, Röslein, Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.

(Johann Wolfgang von Goethe)



野ばら


子供がばらの花を見つけた
荒れ野のばらを
それは若々しく 朝のごとく美しかったので
近くで見ようと走りよって
喜びにあふれて 眺めた
ばら ばら ばらよ くれないの
荒れ野のばらよ

子供は言った、「君を折っちゃうぞ
荒れ野のばらよ!」
ばらは言った、「あなたを刺すわよ!
いつまでもわたしを忘れないようにね
わたし 苦しむなんてまっぴらよ」
ばら ばら ばらよ くれないの
荒れ野のばらよ

とうとう 乱暴な子供は折ってしまった
荒れ野のばらを
ばらは抵抗して 刺したのだが
叫んでも 歎(なげ)いても駄目
なすがままにされるしか無かった
ばら ばら ばらよ くれないの
荒れ野のばらよ

(ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ、対訳:山枡信明)