月の光が、離れ離れであった天と地を一つに結び付ける神秘の瞬間。この合一の中で人の魂は翼をひろげて永遠にむかって飛び立っていく。言葉と融合した奇跡の音楽。

Es war als hätt' der Himmel

それは　天空が大地に

Die Erde still geküßt,

そっとくちづけしたかのようだった・・・

Daß sie im Blütenschimmer

大地が　花の放つ微光のなか　

Von ihm nur träumen müßt.

ただ天空を夢見ているさまは

Die Luft ging durch die Felder

そよ風が　畑をわたり

Die Ähren wogten sacht,

麦の穂を　しずかに波打たせ

Es rauschten leis die Wälder,

森が　かすかにざわめく

So sternklar war die Nacht.

そんな　星の澄む夜だった

Und meine Seele spannte

そして私の魂は

Weit ihre Flügel aus,

翼をいっぱいに拡げ

Flog durch die stillen Lande,

静寂の国を飛んでいった

Als flöge sie nach Haus.

まるで故郷に帰るように

(Joseph von Eichendorff)

（ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフ、対訳：山枡信明）